
不適応行動は意思伝達機能を持ちます。つまり子供は、その行動を通して何かをしたかったり、伝えたかったりして不適応行動を起こすというのです。
行動問題に対して、その行動を直接抑制する(抑える)のではなく、その行動の機能に着目し、行動問題の起こりやすい環境を起こりにくい環境に再構築する必要があります。
機能分析の視点で見ると、行動の機能は4つあります。機能アセスメント(見取り)によって問題行動の原因を明らかにしていきましょう。
①「もの・活動の要求」の機能
子供が「親・兄弟を叩く」行動を取った結果、その児童の欲しいものが得られる状態が継続している時、「親・兄弟を叩く」行動は、「もの・活動の要求」の機能を持っていると仮定されます。
②「注目の獲得」の機能
子供が「親・兄弟を叩く」行動を取った結果、その子供が親・兄弟からの注目を得られる状態が継続しているとき、「親・兄弟を叩く」行動は、「注目の獲得」の機能を持っていると仮定されます。
③「逃避・回避」の機能
子供が 「親・兄弟を叩く」行動 を取った結果、その子供が宿題などから回避できる状態が継続しているとき、 「親・兄弟を叩く」行動 は、「回避」の機能を持っていると仮定されます。
④「感覚(自己刺激)」の機能
子供が 「親・兄弟を叩く」行動 を取った結果、その子供が自分自身に刺激を与えることだけをしている状態が継続しているとき、 「親・兄弟を叩く」行動は 、「感覚(自己刺激)」の機能を持っていると仮定されます。
【対応策】
対応策は、問題行動の機能を減少させ、同じ機能があって、社会的に適切な代替行動を身につけさせることです。
「適切な行動」と「不適切な行動」は、同時にはできません。不適切な行動に着目するのではなく、適切な行動をしている時間を長くしていきます。その結果、不適切な行動が出現する時間を減らしていくということになっていくわけです。
注意や叱責は、問題行動を増加させます。
理由は、効果が一時的で限定的である、叱責や注意に慣れていく、注意・叱責をする相手に恐怖や不安、怒りを感じるようになる、その場の行動を抑制できても、新しいことに学習させる効果がない、などがあげられます。
問題行動を子供の持つ「特性」として捉えることも多く、その場合、自らの支援を見直し、それを改善することにつながりにくいです。また問題行動が激しく、危険であればあるほど、その行動を避ける対応が優先され、子供の学びは後回しにされてしまいます。
子供の問題行動について怒鳴る前に、子供がその行動を通して、行動の機能4つのうち、何をしたいのか見極めその対応策を考えていくことが、最終的に最も近道で省エネな良い方法だと言えます。
次回(来週末)は、「ほめる」ということについて扱っていきたいと思います。お楽しみに♪